2025年度 武蔵中学校の入試分析

目白本校・練馬校が担当した武蔵中学校の分析を掲載します。
 

算数

大問1「小問集合(濃度・整数)、大問2「速さ(グラフ)」、大問3「平面図形と比」、大問4「調べ上げ」といった頻出分野の4題。基本的な問題構成は変わっていない。
 

大問2(1)は自転車・バス・電車の進んだ距離を時間と速さの比から導き出し、これをもとに(2)ではバスが7.2kmを12分で進んでいることから出発した時刻が求められる。難問でないものの限られた時間内できちんと状況を整理できなければ解き切れず、得点差のつきやすい入試問題だった。
 

最後の「調べ上げ」は図形をベースに、辺の長さや正方形の枚数を題材にした問題。(3)はBはAの1.2倍なので、整数になるためにはAが5の倍数に絞れる。エルカミノの教材(「四角カット」「面積迷路」など)を根気よく取り組んでいた生徒は楽しめただろう。 

 
国語

幸田文による類人猿の飼育係についてのエッセイから出題された。
 

筆者は飼育係が毎日接している動物たちについて語る際、「と思う」「らしい」と謙遜して話すことに注目する。この姿勢は学問を志す人たちが「である」という断定の言葉と「と思う」と用心深く推察する言葉を使い分けることと似ている。また、動物たちが人間たちの不安な感情をすぐに察知して怖がる様子についても示されている。これらが、脱走したゴリラを連れ戻すエピソードに結びつく。
 

武蔵の受験生なら、新しい檻を脱走したゴリラが古いすみかへ歩く描写や、脱走したゴリラの気持ちを飼育係が「~のだろう」という言葉で語ることからぜひ情緒を感じ取ってほしい。 

 
理科

例年通り大問3題の構成であり、恒例の文章や表から読み解く問題も出題された。
 

大問2のオナガカンザシフウチョウという鳥の黒い特徴について光の三原色を用いて答えを導きだす問題では、最初に光の反射についての問題が出され、そこから植物の光合成と色の関係、黒い雲はどのように出来るかを考えさせた上で答えを導き出すものだった。リード文に沿っていけば解ける問題となっていたが、記述で答えることが難しかっただろう。
 

大問3の観察問題はサクラ、モミジ、イチョウのスケッチをするというものであった。葉の特徴を絵のみで表現するときに着目する点についての問題が答えづらかったかもしれない。理科でのスケッチの作法、例えば影をつけてはならないことがカギとなった。

 
社会

江戸・明治時代から現代社会にかけて、働き方改革による物流や人手不足に関する問題点などが出題された。
平原直という人物の「経済的な利益だけでなく、運輸労働者の幸福追求を重視する」考えを紹介し、現代でも意味のある考えであるとしている。
例年通り、長文のリード文を読み、地図や江戸名所図会を見て答えさせる形式であった。

問7「平原が業務改善を訴えた頃の運輸業界の経営者にとって、人間が機械より都合がよい点をあげなさい」という経営者の視点に立って利点を考えさせる問題が出た。どういう点で都合がよいのか、自分で考えて解答を書かなければならない。現代社会にも共通する問題点を考えさせる、武蔵らしいよい問題である。
 

通常授業でも時事問題対策で「物流2024年問題」を取り上げていて、生徒に考えさせる授業をしているので、よい解答を書いてほしい。普段から社会状況に興味を持ち、現代社会の問題点を自分なりに考えて学習することが求められているのである。