2025年度 開成中学校の入試分析

武蔵小杉校・たまプラーザ校・大井町校が担当した開成中学校の分析を掲載します。

 

算数

大問数は4題、問題量は例年通り。大問1と大問4が易しく、大問2と大問3の難易度が高い。問題の取捨選択や時間配分が難しく、昨年よりもやや得点しにくい入試となった。
 

大問2はルールに基づいて図形を分け、ポイントを計算する推理の問題。エルカミノの小2で扱う四角カットのパズルに類似している。(3)の大きなポイントとなる場合を問う問題では「ポイントが大きいほど高い得点を与える」という開成らしい出題であった。
 

大問3は速さについての問題。長い問題文から状況を図で整理し、グラフの意味を理解していく。受験生にとって初見のタイプの問題で作業量が多い。難易度は高いが、状況を理解できると問題を楽しく解き進められる。
 

総じて、受験生には冷静な時間配分と作業力が求められた。一方で難易度が高い大問2や大問3は、試験を終えてからも考えたいと思える良問である。冷静さと楽しむ姿勢の両方を、日頃から大切にしてほしい。 

 
国語

今年度も大問2題の構成は変わらなかった。大問一は古内一絵の小説『百年の子』、大問二は永井玲衣のエッセイ『世界の適切な保存』からの出典で、文章量も例年と大きな変化はなかった。
 

小説では、作家と出版社というそれぞれの立場から児童文学の在り方を考え、悩む大人が描かれる。「一人で学ぶことの楽しさ」を伝えようとする気持ちや「枠からはみ出さない人材を良しとする近代の教育観」を否定する姿などを通して、文学の持つ可能性や力を訴えかける物語である。受験生に先代たちがいかに子どものことを考え、その成長を守り戦ってきたかを投げかける開成らしい題材選びである。
 

随筆は「伝えること」の難しさや暴力性をとりあげた作品で、現代の若者を取り巻くデジタル化社会へのアンチテーゼを含んだ文章である。「伝えることの不完全性」「伝えることは相手の思考に影響を与える行為である」という認識は、ともに現代人が忘れている事実の一つであり、それを入試で受験生に改めて見つめさせる問題作りになっている。勉強に偏るあまり社会性を欠いた人間になるなかれ、というメッセージが伝わってくる。日頃から問題演習の際に主題把握を心掛け、「正解を出すこと」に終始せず、筆者の主張を、自分の属する現実世界に対する問題提起であると捉えて読むとよい。

 
理科

今年度も比較的易しい問題が多く出題された。ただし、大問2は典型題に手を加えた形での出題となっていて、こうした問題に対応できるかがカギとなった。
 

大問1 
白い粉末が食塩か砂糖かまたその両方が混じったものかを調べる問題。その中で開成では頻出の実験器具が今年度も扱われた。例年実験器具といえば操作方法を考えさせる問題が多いが、本問は操作の意図に焦点を当てている。どのような危険が発生しうるか、誤差の小さいデータを集めるためにはどんな工夫が必要か予想できる受験生を開成は求めている。この視点は今後の流行になり得るので実験の安全性と正確性を上げるためにどんな工夫が必要か意識して開成受験生は勉強してほしい。
 

大問2 
ばねという出し尽くされたテーマも開成では一味違った仕上がりになっている。自然長とのびを求めるのにいままでの経験にない過程を踏むため混乱せず処理をおこなう必要がある。12月の授業でおこなった入試問題演習で類題を扱った。 

 
社会

昨年同様大問2題の構成である。
 

大問1は、開成中学がある武蔵国豊島郡の歴史について幅広く問う問題だった。用語記述が大半で問題数は多いが、基本問題が大半を占めているので、流れにのって解答していきたい。このレベルの問題なら、ほぼノーミスを目指したい。
 

大問2は、出題分野は地理・公民中心で、与えられたデータを正しく分析できる能力を問う総合問題。短文記述やグラフ作成など時間がかかる問題があるので、大問1を短時間で解き、本問にどれだけ多くの時間をまわせるかがカギとなった。
 

今年度の開成では、用語や事柄を直接問う形の時事問題は出題されなかった。しかし、4都県の発電方式別発電電力量の表から都県を特定する問題では、その都県に原発が立地しているか、立地していたとしても稼働しているかの知識が必要である。この問題では、時事問題の知識を資料分析に活かすことが求められている。開成受験生は、出題傾向の表面上の変化に惑わされず、時事問題にも深く取り組んでほしい。