吉祥寺・成城学園前校が担当した開成中学校の分析を掲載します。
大問1から大問4まで高難度の問題が並び、算数自慢の生徒でもかなり苦しめられただろうと予想する。出題者の出すヒントを、出題者の意図した通りにつなぎ合わせられるかどうかが鍵である。ポイントとなったのが大問1(1)、大問3(1)、大問4に配された作図問題で、図にヒントを落とし込み、それを足掛かりにして推論をさらに先に進めるという構成だった。しかしその作図自体がハイレベルのため、先に進めず、大問一つを丸々落としてしまった受験生も多かっただろう。
大問1(1)のダイヤグラムはすべて書き上げるとさながらゴシック様式の大聖堂である。高い作図能力は開成では今や必須であるが、類似の問題は数少ないため演習の機会は限られる。渋幕や灘(2日目)といった学校の作図問題に積極的に取り組んでいきたい。
例年、大問2題が続いていたが、今年は大問1題でジャンルも随筆と大きな変化があった。出典は石井美保『石畳の小径』(ミシマ社のホームページ内『みんなのミシマガジン』)。漢字の書き取り4問・段落分け問題1問・記号選択1問・書き抜き1問・記述長文3問(30字~70字)短文1問(10字3題)。
京大教授で文化人類学者の筆者が、沖縄県を訪ね、土地の人々から話を聞き、廃墟を見て回りながら、戦争の傷跡を第三者の眼で語ろうという連載の序文のような文章だった。
大きく構成と問題形式が変わったため、過去の開成に特化して勉強して来た生徒は戸惑っただろう。臨機応変な対応力が試されたが、問題自体が難化したわけではない。段落指定した中から書き抜きや記述をつくる問題も加わり、実用的な国語力を開成が想定していることがわかる。また、間接的に戦争を題材に取り上げることで、時代に即した思考力を受験生に要求している。
今後も開成はさまざまな問題を出してくることが予想される。エルカミノの6年夏期講習以降の国語の通常授業では、合計38校の過去問を扱う。開成だけでなくあらゆる形式に慣れながら、受験に備えてほしい。
昨年度に引き続き、今年度も天気の観測に関する問題が出題された。これは、昨年が日本で気象観測が行われ始めて150周年という節目の年であったためだろう。気象に関するグラフがすき間なく並べられていて一瞬混乱した生徒もいたと思うが、縦軸の違いに注意したい。温度計のつくり方や熱量収支にも話を発展させていたが、テキスト学習で十分対応できた。
今年度は化学らしい問題がなく、物理分野からは、近年出題がなかった光の性質の単元からの出題となった。身近な鏡に関する問題だ。2枚の平面鏡が直角ではなく傾けて置いてあり、マス目を数えながら正確に作図する力が試された。緻密な作業を正確にこなせる生徒を学校側が求めているのだろう。
生物分野からは鳥にエサを食べさせる実験の分析が出題された。実験をモデル化した図を読み取り結果を分析することが難解で、普段から結果を見るだけでなく、内容を分析する習慣をつけておくことが必要だ。
世間で注目されたこと、身の回りのことに興味関心を持って学習することが大切である。
今年は大問数が昨年度の2題から3題に増え、それぞれ歴史、地理、公民を中心とした問題構成だった。
大問1は東アジアの通史を軸とした問題。空欄補充や正誤判定を通じ、歴史の流れと因果関係を正確に整理できているかが試された。問題そのものは易しく、開成受験生なら満点を目指したい。
大問2は広島城の立地と地形に注目し、地図の読解を通じて築城技術や歴史的背景を考えさせる問題。広島城と江戸城などの城の立地の違いを読み取る観察力とその違いを言葉にする記述力が試された。
大問3は日米貿易と関税をテーマとした問題。特筆すべきは問1の誤りをすべて選ぶ問題で、選択肢自体は難しい内容ではないが、正確な数値感覚が求められた。
今年の開成は、観察力や気づきが必要な記述問題が例年に比べて多く出題された。今後もこの形式が出題されることもありうるので、記述問題にも取り組んでいく必要があるだろう。